ロサンゼルスには何度も足を運びました。アメリカ盤を取り扱う店が少なかったせいか、今では信じられないほどよく売れました。その頃日本にタワー・レコーズが開業しました。東京で最も大きな店が石丸電気、間もなくハンターと言う名の大型中古店が出来て、愛好家は忙しくなりました。タワー・レコーズはロサンゼルスから始まったと思います。ハリウッドの西の方でサンセット通りの外れだったと記憶しています。日本のタワー・レコーズは私の店とも取引していました。ドイツ・グラモフォン盤でバーンスタインのベートーヴェン全集が出た時、私は思い切って100セット、タワー・レコーズに注文して瞬く間に完売という記録を作りました。そんなことが評価されたのか、タワー・レコーズは私に仙台店を立ち上げて欲しいと内々に持ちかけました。私が断ったら、彼らは札幌店をオープンしました。  タワー・レコーズの従業員からの話で、副社長ソロモン氏のことを聞きました。彼は大のオペラ・ファンで、仕事と趣味の見境なく大量のオペラ全曲盤を在庫したというのです。半信半疑でロサンゼルスの本店に出掛けた私は、そこで全在庫の3割ほどを占めるオペラ・プライヴェート盤が目に入ったのです。恐らく倉庫にはその数倍あったに違いありません。それらは当時トスカニーニ協会盤に匹敵するほど珍しいもので、JBR、HRE、MRFなどで埋め尽くされていました。そのレパートリーはイタリア盤ライヴ・レコードの比ではありません。私はそれらの音質やプレスの良いことも、MRFなどの解説書は一級品であることも知っていました。個人的なコレクター意識がむらむらと起きてきました。できればそれらを資金の許す限り購入したかったのですが、思い止まりました。何故なら、飛ぶように売れたイタリア盤の売れ行きはすっかり下火になっていったからです。