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 最近は、国際化とか国際的とかの言葉や感覚がとても大切に思われています。新しさの象徴あるいは進歩的の証しとして高レベルの褒め言葉にも使われるようです。だが、私はその言葉には幾分危惧を感じています。それによって失われるものの大きさと多さと深さをです。

 五感の中で嗅覚と味覚は国際化に疎いのではないでしょうか。反対に視覚や聴覚は国際化に憧れるように思われます。これは嗅覚と味覚は異質なものに抵抗する、いわば保守的な感覚であり、視覚や聴覚は異質なものへの興味を喚起されやすい感覚とも言い換えられそうです。勝手な理屈にも思えますが、そう考えれば音楽文化や視覚的に見た文化の説明も納得が行きます。恐らく日本人の五感は徳川三百年で培われた特有のものであり、特に聴覚などは研ぎ澄まされた絶妙な性能を備えていたようです。

 私は仕事柄、欧米の愛好家の自慢のオーディオを聴く機会が多いのですが、日本人の愛好家の方が余程良い音を出していると思うことが度々あります。日本と欧米で違うのは空気と壁材です。洋楽は石や煉瓦で包まれた空間と、わが国とは比較にならない乾いた空気の中で育まれ、彼らは今なお同じ条件による恩恵に浴しています。

素人考えではありますが、そのような条件で生み出された音は、決して長すぎぬ残響で、乾燥した竹を割ったように響き、木管楽器などの弾みのある表現にはたまらない快感をもたらします。ところが、彼らは有利に甘んじて音作りに精進しません。その点では、わが国の愛好家の努力は異常なものを感じます。その努力につれて恵まれた聴覚が蘇り、不利を克服して彼らを凌駕するようになったのだろうと私は思っています。

 これは国際化という大きな波の中では極めて小さいことかも知れませんがが、文化を単に同じ感覚で享受するのではなく、自分たちの変えがたい条件の中で、また、固有の資質の中で高めていくことの卑近な例として述べました。国際化の陰に潜む文化の同化作用と言う危険性から逃れる糸口の例として述べました。